愛情を注いでいればいるほど、ペットとの別れは辛くなる
日本人は遠い昔から、貴賤を問わず、さまざまなペットと暮らしてきました。
その証拠に、聖徳太子には、人語を解し、お経を読んだ雪丸という愛犬がいたそうです。
また、一条天皇はとても猫が好きだったという話が、平安時代の女流作家・清少納言の「枕草子」に記されています。
また、江戸時代には金魚ブーム、明治時代にはうさぎブームもあったといいます。
長い歴史の中、ペットは人々の生活に潤いや癒しを与える存在であり、また家族の一員として愛されてきました。
それだけに、ペットが突然、神に召されてしまった時の哀しみには、計り知れないものがあります。
たとえ事実を受け入れることができたとしても、気持ちの整理がつかず、「これからどうしていいのかわからない」と後ろ向きになってしまいがちです。
また、心だけでなく、めまいや摂食障害など、身体にも変調をきたしてしまうケースもあるといいます。
このように心身に影響を与える「ペットロス」を乗り越えていくには、まずは我慢せず、自分の感情を素直に出すことが大切です。
愛するペットとの別れを、どのように受け入れるか
深い悲しみから立ち直るまでの過程をまとめた「悲しみの5段階」という理論があります。これはドイツの精神科医エリザベス・キューブラー・ロス博士が研究・発表したもので、人間は哀しいことに直面すると、「否認」「怒り」「交渉」「抑うつ」を経て、最終的には「受容」に至るとされています。
・否認
ペットが亡くなったことが受け入れられず、まだ生きているのではと考えたり、埋葬することを拒んだりしてしまう心理状態になる。
・怒り
「もっと早く病気に気がついていたら」「獣医師の先生が適切な処置をしてくれなかったのでは?」など、ペットが死んでしまった原因を周囲や自分のせいにして、怒りを感じてしまう状態。
・交渉
ペットの復活を神に祈るといった行動に出るなど、何かにすがろうという気持ちになる。
・抑うつ
ネガティブな考えにとらわれ、何も手に付かず、悲しいという感情の中から抜け出せない状態。人によっては、軽いうつ状態に陥ることもある。
・受容
上記のプロセスを経ることで、悲しみは残ってはいるものの、「ペットはもういない」ということを少しずつ受け入れられるようになる。
ペット家族に迎えることの先には、必ず別れが待っています。
自分を責めたり、悲しみをひとりで抱え込んだりせず、周囲の人たちと分かち合うことです。
それがペットと過ごした日々は楽しかった思い出として、心の中にしまっておける状況へとつながっていくことでしょう。
大切なペットを感謝の気持ちを込めて見送る
家族として暮らしたペットだからこそ、もしもの時は、きちんとお別れしてあげることが大切だといえます。
近年は、火葬・埋葬を含めた「ペット葬儀」を執り行う宗教施設やペットショップも増えており、飼い主の方の希望に応じたお見送りをすることができます。
また、近隣にペット葬儀を扱うところがない方は、「訪問ペット火葬(移動火葬車両による)」を選ぶこともできます。
聖徳太子ゆかりの達磨寺には、愛犬の雪丸の石像が建っています。
資料によると、江戸時代後期には存在していたそうで、当時の人がペットに親しみを持ち、言い伝えを残そうとしたのかもしれません。
大切な家族と過ごした時間を素晴らしい思い出にするためにも、感謝を込めて、ペットを見送ってあげてください。